「ねぇ、パパ。うちってお金いくらあるの?」
ある日、娘がふいに聞いてきました。
我が家は基本的に節約派。私がちょっとしたことでも「これは高い!」というので、子どもながらに「うちって、お金ないのかな…」と不安になったのかもしれません。
子どもにとっては“純粋な好奇心”
「お金ってどこにあるの?」
「家のお金は、パパとママが持ってるの?」
そんなふうに、ぽんぽんと素直な質問が飛んできます。
大人からするとお金のことは「聞いちゃいけないこと」と感じがちですが、娘にとってはただの“ナゾ”。悪気はもちろんありません。
我が家の答え
私はこう答えました。

そんなに裕福じゃないからお金は大切に使おうね。
でも、ちゃんと貯金も投資もしてるから、普通に暮らしていくには問題ないよ。でも、いくらあるかはナイショ。
実のところ、我が家の収入はごくごく平均的。生活に困っているわけでも、贅沢ができるわけでもありません。でも、正確な金額を伝えたところで、子どもにとっては実感がわかないと思っています。
これは賛否あるかもしれませんが、子供には「うちはそんなにお金はない」という空気感で伝えています。
娘にはHPC気質があるため、ちょっとしたことでも極端に不安になってしまうことがあります。なので、「お金ないのかな?」と不安になる娘を安心させてあげたい気持ちもあるのですが、その反面で根拠のない安心感を与えるのも違う気がします。
だから、「大丈夫だよ」という代わりに「お金は大切に使おうね」という話をします。子供を安心させるよりも、「限りあるお金をどう使うか」を考えるクセを持ってほしいからです。
不安にさせすぎないように、でも安心もさせすぎないように、ちょうどいいバランスを探しながら伝えています。
「貯金は冷蔵庫」「投資は畑」──わかりやすく伝える工夫
貯金と投資について、もう少しわかりやすくこんなたとえで説明してみました。
貯金
貯金っていうのは、冷蔵庫にお金をしまうみたいなもの。必要なときにすぐ使えて安心だけど、置いておくだけじゃ増えることはない。
投資
投資は、畑にお金を植えるイメージ。日光を浴びて、時間をかけて育っていく。うまくいけば増えるけど、台風や虫でダメになることもあるんだよ。
娘は「うーん、それなら両方あったほうがよさそうだね」と、ちょっと得意げに頷いていました。
「バァバの千円」で伝わった“お金の重み”
そして、もうひとつ。最近とてもよかったのが、こちらの会話。
娘が祖母からもらった千円を手にしたとき、私はこう言いました。



その千円はね、バァバが1時間、ずっと立って、お客さんにニコニコしながら働いて、やっともらえるお金なんだよ
実は娘の祖母(私の母)、近所のお店でパートをしています。体力もいるし、決して楽な仕事ではありません。
娘は、その千円札をじーっと見て、「なんか、すぐ使っちゃうのはもったいない気がする」とつぶやきました。“お金の向こうにある誰かの時間”を感じた瞬間だったと思います。
お金は「増やす」より、「考える」もの
私は、お金のことを「増やすテクニック」としてではなく、「考える道具」として伝えていきたいと思っています。
- 何に使うか
- どんな価値があるか
- 誰の役に立つのか
そういう視点を持って、お金とつきあえる人になってほしい。
畑を耕すように、コツコツと。芽が出ない日も、水をあげ続けるように。その姿勢が大事だと思うのです。
わが家の「お金に関する家庭ルール」
子どもとお金の話をするうえで、我が家ではこんなルールを意識しています。
- 金額より「考え方」を伝える:何に使う?どう選ぶ?を一緒に考える。
- 無駄遣いを責めない:失敗も経験。反省より振り返り。
- おこづかいは“お金の練習用”:自分で自由に使わせる。正解を押しつけない。
- お金の話を“タブー”にしない:「お金のことは話してOK」という空気づくり。
子どもとのお金の会話、こんなふうに
ちょっとした工夫で、お金の会話が自然にできます。
- レシートを見ながら「これは高かった?お得だった?」と話す
- 欲しいものが出たら「どうやって手に入れる?」を一緒に考える
- 世の中のニュースから、「この会社、何してるとこ?」と聞いてみる
お金を“遠い存在”にしないための、小さな試みです。
まとめ:「いくらあるの?」に、どう答える
「うちって、いくらお金あるの?」
その一言の奥には、いろんな気持ちが隠れているかもしれません。
不安。好奇心。安心したい気持ち。
だからこそ、「ナイショ!」で終わらせず、考え方や価値観として、伝えていくことが大切だと思います。
冷蔵庫(貯金)も、畑(投資)も、ちゃんとある。
でもそれ以上に、どう向き合うかを、一緒に育てていけたらと思います。