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誰のアドバイスを信じる?

対立

不登校の親として、さまざまな意見やアドバイスに触れる機会があります。学校の先生、スクールソーシャルワーカー、教育支援センター、親の会、フリースクールの関係者、児童精神科医、ネットの専門家、不登校経験者——それぞれが異なる立場から異なる意見を持っています。

たくさんの意見に触れる中で最近気づいたことがあります。それは、「残念ながら、誰も娘のことだけを純粋に考えてくれるわけではない」ということです。

立場がある限り、純粋に他人のことだけを考えるのは難しい

もちろん、誰もが善意を持って行動していますし、支援をしてくれる人たちは本気で助けたいと思ってくれていると思います。ただ、人にはそれぞれの立場があるので少なからずその影響を受けます。「最善の答え」はそれぞれの立場によって異なるからです。

学校の担任は、基本的に「学校に来てほしい」と考えます。先生の仕事は学校で生徒を教えることだからです。学校という枠組みの中で最善を尽くすのが先生の役割です。

スクールソーシャルワーカーは、学校に戻ることだけが解決ではないと考えつつも、行政の枠組みの中で対応します。そのため、基本的に公的な支援制度の範囲内での解決策を提示してくれます。

フリースクールの関係者は、「学びの場はたくさんある」と言います。それはフリースクールの価値を伝える立場だからです。もちろん、それが役立つ家庭もあれば、合わない家庭もあります。

児童精神科の医師は、心の安定を最優先に考えます。医師の視点では、学校に行けているかどうかよりも子どもがストレスでつぶれないことが最も大切だからです。

ネットの専門家は、不登校を統計データとして扱います。「不登校の〇〇%は□□になる」といったデータは参考になりますが、それが娘に当てはまるとは限りません。データは傾向を示すものですが個別のケースには万能ではありません。

情報商材や書籍を売りたい人は、「不登校〇〇%は□□」「こうすれば必ず解決!」と断言します。でも、続きは有料コンテンツだったりします。情報発信にビジネスの側面があることは意識しておいた方がよさそうです。特に不登校の親として迷っているとき、「これが正解!」と断言されると、つい引っ張られそうになります。「学校は絶対行かなくていい!」、「絶対に復帰させるべき!」どちらも一見すると正しく聞こえますが、しかし極論を言って人の心を動かし、購入に繋げるビジネス戦略という場合もあります。極端な意見には慎重に向き合うべきだと思います。

不登校経験者の意見はどう受け取るか

ネットやセミナーなど、不登校経験者の意見も多くあります。これは当事者の生の声として貴重です。「こういう言葉がプレッシャーだった」、「このタイミングでこうされると助かった」「本当はこうして欲しかったけど、言えなかった」など、本人以外には気が付きにくいポイントを知ることができます。ただ、本人の経験が中心なので、「自分の選択を正当化したい」という気持ちが入ることもあります。

たとえば、「自分は不登校だったけど、今は幸せだから大丈夫」という人もいれば、「不登校だったせいで苦労したから、早めに戻ったほうがいい」という人もいます。どちらも真実ですが、それが娘に当てはまるとは限りません。

ふと振り返ると、自分がブログを始ようと思ったのも、どこかで「自分の選択を正当化したい」という気持ちがあったのかもしれません。

親の意見も完全に客観的ではない

親として、子どものことを考えているつもりでも、無意識に世間体や「普通」の枠にとらわれていることがあります「このままで本当に大丈夫なのか?」「周りの子はみんな学校に行っているのに…」こうした気持ちは、子ども自身の気持ちとは別のところから湧いてくるものです。

ただ、「見守る」とは何もしないことではない

多くの人が口をそろえて言うのは、**「見守るしかない」**という言葉です。

確かに、子どもが自分で動き出すのを待つことは大切です。無理に学校へ戻そうとすれば、かえって傷つくこともありますし、焦って何かを決めても、子どもの気持ちが追いついていなければうまくいきません。心の回復や成長には時間がかかるものなので、「見守るしかない」というのは正しいのかもしれません。

ただ、「見守るしかない」と言われると、なにもせずただ待つことのように感じてしまいます。しかし、親としてなにもせずにいるのは不安になりますし、それでいいのかと思います。

私が考える「見守る」とは、ただ放置することではなく、できることをしながら成長を見守ることです

  • 子供の気持ちに耳を傾けること
  • 子供が安心できる環境を作ること
  • 子供の興味を大切にすること
  • 親自身が学び、成長すること

これらを意識しながら、子供が自分のペースで動き出すのを待つことが「見守る」ということだと感じています。

どんなアドバイスも「誰の意見なのか」を意識する

誰のアドバイスも参考にはなりますが、大事なのは、「誰の意見なのか」を意識することです。どんな立場からの発言なのかを踏まえた上で、娘にとって本当に役立つかを考え続けることが、不登校の親としてできることなのだと思います。

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この記事を書いた人

博士号を持つ元理系研究者で、現在は会社員。研究者時代にC++などのプログラミングを少しかじっていたこともあり、娘と一緒にプログラミングを学ぶことにしました。また、マネーリテラシーを高めるために、お金や株、投資について日々勉強中。学校では教えてもらえない大切なことがたくさんあると気がつき、「生き抜くスキル」を娘と一緒に身につけていきたいと思っています。