HSC気質のあるうちの娘は、「注射」が大の苦手でした。正確には、“苦手”というより“恐怖”に近い反応を示していました。
コロナ禍では、ワクチンを打っている人が映るニュース映像ですら怖がり、家族がワクチンを受けるという話題もタブーに近いものでした。
そのため、小さい頃から「予防接種」は彼女にとって特別なハードルで、実は未接種のワクチンが残ってしまっていました。
たとえば日本脳炎ワクチン第2期がそうなのですが、このワクチンは9歳から13歳の間に接種することになっています。そして娘は今11歳。
まだあと2年ほどの時間はありますが、いつか向き合わないといけないタイミングがきます。
ずっと気にはしていたのですが、「無理に打たせるよりも、本人の気持ちが整うのを待とう」というスタンスで見守ってきました。
「別に注射してもいいんだけどなぁ〜」
そんな娘が先日ふと、信じられないような一言を言いました。

「別に注射してもいいんだけどなぁ〜」
きっかけは、弟の予防接種の話題でした。以前の娘なら、自分に関係のない話でもその場から逃げ出すほど敏感だったのに。
あまりにもさりげなくて、思わず聞き返しました。



「えっ? 今、なんて言った?」



「だって少し痛いくらい、仕方ないじゃん」
あの娘がそんな風にいうなんて!
あれほど避けていた注射の話題に、自分から入ってきた。それだけで胸がいっぱいになりました。
もちろん、まだ“できる”とは限らない
もちろん、これですぐに注射を受けられるとは限りません。いざ病院に行ったら「やっぱり無理」となる可能性も大いにあります。
でも、話題に出せるようになったこと自体が、大きな進歩です。
「怖いけど、乗り越えてみようかな」と考え始めたこと。それがどれほどの一歩か、親としては本当に感動的でした。
不登校の時間も、心はちゃんと育っている
不登校の子どもと日々過ごしていると、目に見える“成長”がなかなか感じられず、不安になることがあります。
でも、こうした日常の中のささいな一言が、何よりも確かな成長の証だと思えるのです。
娘の「別に注射してもいいんだけどなぁ、」は、我が家にとっての小さな記念日になりました!