不登校の親として、どのように考え、どのような姿勢で子どもと向き合うかは千差万別です。しかし、大まかに整理すると、親の考え方には「縦軸」と「横軸」の2つの軸があり、それぞれに沿って4つの領域に分類できます。この枠組みを通して、自分がどの位置にいるのかを見つめ直すことで、新たな気づきを得られるかもしれません。
自分の位置を確認する

1. 縦軸:「学校復帰志向」か「別の学び方志向」か
縦軸は、親が子どもに対して「学校復帰を目指すのか」それとも「学校以外の学び方を模索するのか」という考え方の違いを表します。
- 学校復帰志向:学校に戻ることを目標とし、不登校の状態を「一時的なもの」と捉える考え方。
- 別の学び方志向:学校に戻ることにこだわらず、フリースクール、ホームスクーリング、探究学習など多様な学びの形を受け入れる考え方。
2. 横軸:「親が主導」か「子ども主体」か
横軸は、学びや進路に関して「親が主導するのか」それとも「子どもの意思を尊重するのか」という違いを示します。
- 親が主導:親が積極的に情報を集め、選択肢を提示し、必要であれば方向性を決める考え方。
- 子ども主体:子どもの意志を尊重し、子ども自身が選び取ることを重視する考え方。
4つの領域の整理
この縦軸・横軸を組み合わせると、以下の4つのタイプに分けることができます。
①【学校復帰 × 親が主導】(学校復帰コーチ型)
「なんとか学校に戻れるようにサポートしたい」という考えを持つ親のタイプ。
②【学校復帰 × 子ども主体】(見守り型)
「学校に戻るかどうかは子どもの意思に任せるが、戻りやすい環境は整えておく」という考え方。
③【別の学び方 × 親が主導】(探究サポート型)
「学校にこだわらず、別の学びの場を積極的に提供しよう」と考える親のタイプ。
④【別の学び方 × 子ども主体】(自由探究型)
「子どもが自分のペースで成長していけるように見守る」という考え方。
我が家の考え方の変遷
我が家も、不登校になった当初から考え方が変化してきました。

【第一段階】① 学校復帰 × 親が主導
最初は、「不登校は一時的なもの」と考え、なんとか学校に戻れるようにサポートしようとしました。生活リズムを整え、少しだけでもいいからと娘の手を引いて学校に連れて行ったりしていました。しかし、娘自身が学校に対して強い拒否感を示している中で、無理に連れていこうとすると余計に学校が嫌な気持ちが強くなってしまうのではないかと考えるようになりました。この間は地域の教育相談センターや、学校のスクールソーシャルワーカーさんとの定期的な面談、別室登校など行なっていました。
【第二段階】② 学校復帰 × 子ども主体
そこで、親の意向を押し付けるのではなく、娘の気持ちを尊重する方針に変えました。「学校に戻るかどうかは娘が決める」というスタンスを取り、親はそのサポート役に徹しました。しかし家にばかり閉じこもっていて学校とのつながりが完全に途切れてしまうのが怖かったので、時折「今日は学校行ってみる?」というような声かけはしました。気が向いた時には親と一緒に学校に行くこともできました。しかし、娘の「行きたくない」という気持ちは変わらないままでした。
【ステップ3】③ 別の学び方 × 親が主導
学校に戻ることにこだわらず、むしろ「行かないからこそ学べることがあるのでは?」と考え、娘と一緒に学びながら生き抜く力を育てていくことにしました。親としてはできるだけ興味を引き出し、学びの機会を増やすサポートをしています。
どのタイプが正解?
この4つのタイプに優劣はありません。親の価値観、子どもの性格、家庭の状況によってどれが合うかは異なります。また、時間とともに考え方が変わることもあります。実際に我が家も色々と考え方に変化がありましたし、今後も変化するかもしれません。「今、自分はどの領域にいるのか?」 「子どもにとって最善の選択は何か?」という視点を持ちながら、子どもの成長をサポートしていくことが大切です。不登校は、子どもが自分らしい学びを見つけるチャンスとも言えます。親もまた、一緒に学び、考え、成長していくことが必要なのだと思いってます!
皆さんの家庭に合ったスタイルを見つけながら、親子で「生き抜くスキル」を育んでいきましょう!